芭蕉の句

「麦の穂を 便りにつかむ 別れかな」

 元禄7年5月8日、芭蕉が最後の旅に向かった時、門人たちが川崎まで見送りこの地に二日ほど滞在し、最後の宴をはった時の句といわれる。
 その時節は麦秋で、中国では別れに柳の枝を折るといわれこれを麦の穂に変えたもので、麦の穂を折ったのではなく別離の餞別句として詠んだもので、芭蕉はこの年の10月11日大阪で「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」の句を最後に51年の生涯を閉じている。

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